マグネット ・オブ・フォー

 

2章・裏って厳しい

3・新入

 「ただいまー」
「よっお帰り。」霧島がジムの床にモップをかけている所だった。
「本買ってきた?」
「あ・・はい、これです。」亜沙美が差し出す。
「ふむふむ、まあ本なんてどれもいっしょでしょ、それ見て頑張ってね。」モップ作業を続ける霧島。
「とりあえず縄跳びでもします、ドラマで見たみたいに、右左とステップ踏みながらやるんですよね?」
誰にも反応が無かったので、亜沙美は無言で縄跳びを始めた。
「ふんっ!」鼻から息を出して、真澄がシャドーを始める。それを見て亜沙美は縄跳びを止めた。
「か、かっこいー!」
真澄はその言葉に気にすること無くシャドーを続けている。
「 霧島さん」シャドーを続けたまま真澄が言った。
「なんかさ、裏ボクシングの世界に入りたいって同級生が二人いるんだけどさ」
「ほう、」霧島がモップの動きを止め、柄によりかかる形で真澄の方を向いた。
「呼んでいいかな?」
「ああ、いいよ、どんなヤツか気になるね、携帯番号知ってるんなら今から呼びなよ」
そう言うと、霧島はモップかけを再開し始めた。
(なんでモップかけてるのに、このジムはこんなに汚いんだろう?)亜沙美は思いながら縄跳びを続ける。

それから二時間後

「すまん、遅れてしまった」
「ついでにいっしょに遅れたヨ、ごめんネ」
ジムの入り口で二人の声がした。
「おー、来たか。」マンガを読んでタバコを吸って座り込んでいた霧島は、タバコの火を床にグリグリと
擦り付けて消して立ち上がった。
「お前らさ、とりあえずなんでここに来たの?まあ入りなよ」霧島がオイデオイデをすると、二人はジムの中に
入ってきた。亜沙美はポカーンとその風景を見ている。
「自己紹介から、私は義経慶子だ」
身長は160センチ位、肩までストレートに髪を伸ばしている。
その目は鋭い。
「恥ずかしながら、父の莫大な借金の返済の為、恥を忍んで参りました、試合をさせて頂きたく思っております」
「借金か、よく聞く話だね」霧島がニヤニヤと笑みを浮かべながら慶子の方へ寄った。
霧島は、慶子の全身をなでるようにさわった後
「ほう、いい体してるね、っていうか、足の筋肉がすごいな」と言った。
「陸上の高飛びをしておりました、ただ、このまま陸上選手になっても、その、金の面で・・・」慶子が言葉を詰まらせる。
「よしよし、皆まで言うな、ジムにいれたろ!」
「ありがたい、本当にありがたい」真顔で慶子が言う。
(あれ喜んだ顔なの?)亜沙美は思った。
「さて、次はあんたね、名前は?」もう一人に霧島が話しかける。
背は150センチ程度、ショートヘア、体もさほどしっかりしていないように見える
服もダボッとしており、何となくだらしない印象だが、顔はロリータマニアに飛びつかれそうなほど可愛い。
「 飛田涼子ダヨ」
「なんでここきたんかい?」
「なんとなくやってみたくなったんダヨ」
「スポーツ経験は?」
「山ほどあるヨ、全部クビになっちゃったんだヨ」
「あんた、問題児だねぇ」嬉しそうに霧島が、涼子の肩を叩く、涼子は無反応だ。
「体はあんまり出来上がってないみたいだけどなぁ・・・よし!あんたも入れたろ!とりあえず頑張ってみな!」
「あいヨ」
「なんか面白いヤツ連れてきたなぁ、真澄よぉ!」霧島が振り返って、パンチングボールを叩いている真澄に言った。
真澄は、黙ってパンチングボールを続けている。
「そうだ!」パチンと手を打って、霧島が大声を出して、そのまま奥の部屋に入っていった。


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