マグネット ・オブ・フォー

 

2章・裏って厳しい

1・「裏トレ」

  かびた匂いのする霧島ジムには、戦意喪失でボーっとしている真澄、金を数える霧島、
そしてトレーニング初日で何をして 良いのか分からない亜沙美の三人しかいない。
  「霧島さん、トレーニングって何するの?」
  「トレーニングって、走ったり、そこにあるパンチグボール叩いたり・・・それから・・・。」
霧島は必死に思い出そうと考えているようだった。
 「このジムは霧島さんのオヤジさんがやってて、霧島さんが継いだのは裏ボクシングだけだか
ら、トレーニングなんて分かるわ けないよ。」 真澄がそう言うと、霧島はキッと睨んでこう言った。
  「余計な事は言うもんじゃない、怪我人は怪我人らしく大人しく黙ってるもんだよ!。」
亜沙美は霧島の過去に何かあるんだろうなと思ったが、怒られるのは嫌なので何も言わな
いべきだと思った。
 「とりあえずさ、これで何か本かってきて、それでトレーニングやってよ、設備はタダでいく
ら使ってもいいから。」
そう言って霧島は財布から5000円出して亜沙美に渡した。
  「おっ、私も付いてってやるよ。」真澄が少し元気に見える。
  「じゃあ、もう二千円あげるから二人で何か食べてきな。」
亜沙美と真澄はジムを後にする。亜沙美がふと振り返ると、霧島の背中が寂しそうに見えた。

2・「 ハンバーガーにコーラに涙味」

  二人はハンバーガーショップに入って、ハンバーグにコーラにポテトのセットを食べることにした。
「さっきの続きだけどさ」真澄が切り出す。
「霧島さんのところ、オヤジさんの代にはいい選手いたんだけど経済難でジム手放す事になっ
て、その選手たちは 他のジムに 引き取られる形になっちゃったらしくってさ、家も破産寸前に
なって母親は家を出て、そのオヤジさん、そのまま死んじゃったらしいんだよね。」真澄がコーラに
ストローを刺してチューチュー飲み始めた。
「それで、何で霧島さんが地下ボクシングなんてやってるの?」ポテトをカリカリかじりながら亜沙美
が尋ねる。
「分からない?オヤジさんの意思を継いで、ジムを立ち直らせて繁盛させるのが目的なのよきっと。」
「ジムを立ち直らせても誰も帰ってこないんじゃない?」
パシッ!亜沙美の頭を真澄が叩く。
「いででっ!」
「野暮な奴だよ、あんたは。」
「叩かなくてもいいのにー。」
「まあ、今言ったのはただの憶測だからね、実際に地下ボクシングやってて金は入ってるけど、まと
もな選手なんて一人も入れる気配ないし、何か他の目的があるのかもね。」
二人は黙り込み、ハンバーガーに手を出してムシャムシャと食べだした。
「真澄、あんまり音立てて食べるのよくないよ。」
パシッ!
「いだだっ!・・・なんか鼻血の匂いがするよぉ・・・」
「黙って食っとけ!」

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