マグネット ・オブ・フォー

 

1章・エピローグ

7・「青春って何すか」

 響子の筋肉質の体から放たれるパンチは止まることを知らない。「やばい!やばいってぇ!」霧島はマットをドンドン叩きながら叫ぶ。
パッと血の雨が降る、それは亜沙美の鼻血だった。亜沙美は急いでゴシゴシと服にかかった血をふくが、じわじわと広がってしまった。
「ぐおぉ」低い声がして、響子のボディブローが真澄のへその辺りに突き刺さった。そして前のめりの倒れて土下座のように倒れた。
そのままふう、ふうと息を肩でしているが、相手の響子はまだまだスタミナがあるようで息をほとんど乱していない、つやつやとした体に
汗が美しく映えている。髪をはらおうと顔をふるたびに汗が髪から散って、美しいな、と亜沙美は思った。それに比べてあの真澄がこん
なに弱く、痛めつけられているのをみて、哀れになってきた。
  「もう駄目かよ!立てって!チャンピオンになれるんだよ!」霧島のテンションは落ちない。
真澄が響子の足にすがりつき、ゆっくりと立ち上がる、まるでホームレスが何かを人に渇望するかのように響子を見つめながら口をだ
らしなくあけ、その体にすがりながらゆっくりと立ち上がる。
  立ち上がったと思った瞬間に、響子のパンチが上から顔面に一発、槍のように突き刺さった。
グシャッと音がして、まるで真澄の顔面がつぶれてしまったのではないかと亜沙美は顔を覆った。真澄の体は後ろにぐるりと血の弧を
作りながら 一階転して、マットの上を体が跳ねて止まった。白目になってピクピクと上半身を少し痙攣させている。
  「ひぇ〜」と、思わず亜沙美の口から声が出た。もはやリンチ状態で、いつもの真澄に対する苛立ちは無くなった。
真澄の右目が腫れ、醜い顔になっている、しかし立ち上がる。
「そろそろ楽にしてやれ!」「もう見飽きたぞ!」と大きな声が飛ぶ、亜沙美は切なくなってきた。
「真澄〜」亜沙美は真澄を抱きかかえるようにした。
「もうやめたほうがいいよぉ、死んじゃうよぉ。」声をかけるが、決して亜沙美は首を縦に振らない。
真澄のマウスピースを口からねちゃりと出すと、手首まで血と唾液が混じった液体が垂れてくる。水で洗うが、なかなかそのヌルヌルし
た感触は無くならない。
  「真澄?真澄?」霧島が焦りながら顔をピシャピシャ叩いている。

「気絶しちゃったわー・・・。」

霧島は走っていって本部席らしき場所でそれを伝えた。

カンカンカーン

「佐々木真澄選手は、戦闘不能状態の為、福島響子選手の勝ちになります」と、アナウンスが響き渡り、歓声やヤジが飛び交い、ジュー
スの入っていたコップや紙くず、それに紙幣が飛び交った。
  響子がその中、ゆっくりと笑顔をうかべて、ぐったりとしている真澄に寄ってきて手をさしのべてきた。手を震わせながら握手をしようと
するが、ガッと手をつかまれ、そして引っ張られて 真澄はリングの中央に転がった。
いつの間にか響子は左手にマイクを持っていた。

「負け犬!」

その一言でさらに盛り上がる会場、響子の手によって真澄がトランクスを脱がされる。
もう力尽きた真澄は股を開いたまま何の抵抗もしない。

(むっかぁ!怒髪天!)亜沙美は怒った、これではあんまりじゃないか、一気にリングの上へ上がる。
「ほー、あんたセコンドよね、やる気?」響子が構えるが、その瞬間にトランクスとマイクが亜沙美の手へと移動していた。
そのあまりの速さに呆然とする響子。
「あ、あんた、ひっぱたくわよ・・・」ボツリとマイクにむかって言う。

会場がさらにヒートアップして
「何と!チャンピオンに宣戦布告です!」とアナウンスの声。

「ち、違います、ただ一発ひっぱたきたいかなぁなんて・・違います!」そう言うが、マイクの電源は既に切られており声はどこへも届かない。
「ちちち、違うよぉ、違うよぉ。」涙目で叫ぶ亜沙美、手にぐっしょりと汗をかいている。

「違うよぉ!」



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