マグネット ・オブ・フォー

 

1章・エピローグ

1・亜沙美と真澄

宮本亜沙美は佐々木真澄が嫌いだ、今いる高校はもうすぐ卒業だが、三年ともずっと同
じ教室にいる。何故嫌いかって?それはキテレツ大百科のブタゴリラとトンガリの関係そ
のままだからである、いつの時代でもどの学校でもこんなペアはいるのではないだろうか。

  学校が終わり、亜沙美は誰もいない教室の窓をあけて涼しい風を浴びていた、吹奏楽の
管楽器の音が遠くから聞こえてきて、卒業すればこの風景やこの音ともお別れかと思いつつも
複雑な気分にひたっていた。
  しかしその真澄が亜沙美の後ろにソロリソロリと迫っていた。
「亜沙美ッ!」真澄が亜沙美の頭をガッチリとヘッドロックしてこめかみをグリグリした。
「いだだだっ!」亜沙美は涙目になって抵抗するが、ヘッドロックは外れない。
「やめてぇ、やめてよぉぉぉ」必死になって暴れるとやっとヘッドロックは外れた。
「いだだだだ・・・」亜沙美はその場にこめかみを押さえてうずくまった。真澄にとってはス
キンシップのつもりだが、亜沙美にとってはいい迷惑である、
「勘弁してよぉー、ただでさえ力強いのにグリグリしないでよぉー。」
亜沙美は160センチの小柄で髪型はポニーテール、それに比べて真澄は175センチと
亜沙美より大きく、 肩まで伸びた髪、亜沙美よりガッチリした体格である。
「そういえばあんた、高校ももう卒業だけどこれからどうするか考えてるの!?」
「いや・・・どこか大学行こうかなって思ってる。」
「どこかって、まだ決めてないならいい所あるんだけどさ、面接に来ない?。」
「えー、何ていう学校?。」
「いいからいいから。明日10時ごろに学校に行くから、8時半くらいに家に来てね!。」
窓からの風でカーテンがふわりとなびく。
「早いなぁ、もっと遅くいかないのー?」
「だめだめ、もう決めたの!いい?待ってるよ、バーイ!。」
そう言うと真澄は風のように走って、教室から消えた。

2・学校
 
  結局、亜沙美はそれから30分位学校でゆっくりしていたが、学校が暗くなるにつれ、ど
んどん場の雰囲気が気味悪くなってきたので、あわててそこから飛び出した。
 (まあどうせ面接の後にテストがあるだろうから適当にやって落ちてやろう)
学校の帰り、街灯の並ぶ川沿いの道で 亜沙美はとぼとぼ歩きながらそう考えていた、
よく考えれば高校の卒業が 迫っているというのにあまり深刻に考えていない。
最悪、真澄の紹介してくれた学校でも いいかな、どんな事を勉強するのかな、そんな事も
考えていた。
 亜沙美の家は古いアパートに母と住んでいる、父親は亜沙美が小さい頃に蒸発してし
まっていたが、あまりに小さい頃の為に覚えておらず、そこまで不便だと悩んだことは無い。
  「ただいまー」古いきしんだ音をたてるドアをあけて亜沙美が家に入る。
「おかえり、ご飯できてるわよ。」亜沙美の母親が居間でテレビを見ながら言った。
「あのさ、進学の事なんだけど」亜沙美がおそるおそる切り出した、家は財政難でひょっと
すると進学は無理かもしれないので今まで聞くに聞けずにいた。
「明日、真澄に紹介された学校を見に行くんだけど・・・いいかな?日曜日だし・・・。」
亜沙美の母親は寝転んでいる体制のままこちらへゴロンと転がって言った。
「バイトして自分でお金払うなら行ってもいいけど、そうでなかったら無理だよっ!。」
「うん・・・とりあえずじゃあ明日とりあえず行って見るから、見るだけね・・・。」
「あいあい・・・」また母親はクルリと向きを変えてテレビの方へ向きなおした。
 亜沙美にとって母親と真澄は性格がよく似ていて時々嫌だなと思える時がある。心の中で
何なんだよこいつはと思いながらふてくされつつ、障子をあけて亜沙美は自分の部屋に
入った。

3・何ですと!?

部屋にセットした二つの目覚まし時計と、携帯電話で設定しておいたアラームが部屋に鳴り響く。
「眠いよぉ、寝たいよぉ。」一人で叫びながら亜沙美はモゾモゾと布団に入るが、真澄の顔を思い出すと
しぶしぶ起きずにはいられなかった。
  いつも起きている時間なのに、休みの日は眠たいものである。
服を着替えて髪をセットして、机の上にある履歴書をバッグに入れて準備完了。 
 朝の気持ち良い太陽の光。早起きは三文の徳だな、と思いながらも、これから行く学校でい
きなり面接なんておかしいなとも考え、亜沙美は複雑な気分で歩いていた。
「よーっ亜沙美、おはよう〜。こっちこっち!」二階から、とぼとぼと歩いてきた亜沙美に真澄
が声をか けた。「今降りるからさ、待ってて。」ドンドンと階段を降りる音がして、しばらく する
とガチャリと ドアが開いて 真澄が出てきた、既に支度が出来ており、大きなバッグをかけて
いた。
「真澄、何〜そのでっかいバッグは・・・」
「これはね、着いたら分かる分かる、行こっか。」
「うん、分かった、履歴書だけ一応持ってきたよ。」
「履歴書ね、いらないと思うけどね、ひひひっ。」
亜沙美に不安がよぎった。それから二人は電車に乗った。どうやら隣町のようだった。
電車に揺れながら、どうかまともな学校でありますようにと亜沙美は必死に 祈っていたが、
考えてもどうにもならないと思って亜沙美は考えるのをやめた。
  時折、 電車が揺れた時に真澄の大きなバッグから青いものがチラチラ見えて気になる。
電車を降り、少し都会の町を少し歩く、最初は大通りだったが、どんどん暗い路地に入って行き、
亜沙美の不安がピークに達した頃にその「面接会場」へついた。

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「な、何ですと!?」亜沙美の手からバッグが落ちる。

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